エアコン

エアコン(冷房・暖房)の仕組みを設計者が分かりやすく説明します

エアコンの冷房・暖房の仕組み

皆さんの毎日の生活に欠かせないもの、それはエアコン(空調)
夏は涼しく、冬は暖かくしてくれる生活必需品です。
部屋の中でも、職場でも、車の中でも、どこでもエアコンがかかって快適な空間を作っています。

僕はそんな愛おしいエアコンの開発をしていました。

こんなに身近なエアコンなのに、「なぜ冷えるのか?」「なぜ暖まるのか?」その仕組みを知っている人はどれだけいるでしょうか?
仕組みを知ればより効率的にエアコンを使えるようになり、省エネにもつながります!

その辺のエアコン解説記事を見ると、よくこんな説明があります「冷媒が蒸発する時の気化熱で空気から熱を奪い冷やします」
こんなんじゃ伝わる訳ありません。気化熱云々は本質じゃないし。
詳しくない人からすれば、うるせえ!分からん!って感じですよね。

エアコンを設計していた僕が、知識ゼロの人でもわかるように、誰よりもわかりやすく仕組みを説明していきます!

まずはエアコンの中の「冷房」について説明します!!
その後で「暖房」について説明します。
後述しますが、冷房と暖房は同じ仕組みでできています。

エアコンの中でも、車のエアコン(カーエアコン)はちょっと仕組みが違います。
↓ カーエアコンの仕組みについてはこちら ↓

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冷房の目的

冷房とは「室内の空気を冷やすこと」です。
極端な話、これが実現できればなんでもいいわけです。
例えば、大きい氷を室内に置いたりすれば冷えますよね?
これも立派な冷房です。

ここでまずは、「冷やす」とはどういうことか考えてみましょう。

「冷やす」とは

単純に言えば「ある温度をそれ以下に下げること」です。
言い換えれば「ある物体から熱を奪うこと」とも言えます。

あまり難しく考えないでOKです!!
日常的に考えて温度が下がるのは「それよりも冷たいものに触れた時」ですよね?
コーヒーが冷えてしまうのも、お風呂のお湯が冷えてしまうのもそう、それらより冷たい外気に触れているからです。

色々気になる人は、「熱力学第二法則」でググって下さい

つまり「室内の空気を冷やす」には、「室内の空気よりも冷たいものに触れさせる」ことが必要です。
実際にエアコンの冷房はそうなっています。

エアコンの仕組み

では、どのように「室内の空気よりも冷たいもの」を作っているのでしょう?
ここからエアコンの肝に入っていきます。

「冷たいもの」の作り方

エアコンガス、というものを聞いたことがある方・ない方がいると思います。
主にフロンガスを使っています。
「冷たいもの」を作るための媒体として、このエアコンガスを用います。

専門的には「冷媒」と呼びます

とは言え専門知識なくても理解できますのでご心配なく。

霧吹きをイメージして下さい。プシュッと小さい穴から水を出すと冷たい水になります。
つまり霧吹きにより水の温度が下がり「冷たいもの」を作ることができたということです。

詳しい理論を知りたい方は「ジュール・トムソン効果」でググって下さい。

エアコンガスは霧吹きによって、水などより遥かに冷える特性があります。
この霧吹き(実際のエアコンの部品は「膨張弁」と呼びます)にエアコンガスを通すことで、エアコンガスが室内の空気よりも低い温度になります。

実際はエアコンガスに高圧(高い圧力)をかけ、その勢いで霧吹きシュッとしてます。
シュッしたあとは圧力が下がります。

エアコンの仕組み

このガスと室内の空気を触れさせれば、室内の空気の温度が下がります!
しかし、直接室内にエアコンガスを吹き出してしまうと、室内にエアコンガスが充満することになり、体に害を及ぼします。
そこで「熱交換器」というものを用います。
難しくはありません。単純に長いパイプにフィンがついているだけです。
このパイプの中をエアコンガスが通り、パイプの外側に室内の空気が触れることで、「パイプを介してエアコンガスと空気を触れさせる」、つまり「エアコンガスと空気の熱を交換」しています。
フィンは空気が触れる表面積を多くし、より早く効率的に冷えるようにしているだけです。

エアコンの仕組み

ここまでで、エアコンがなぜ冷えるか?は大まかに理解できたかと思います。
エアコンガスを霧吹き(膨張弁)に通して冷たくし、熱交換器に流して室内の空気を冷やす。
冷やすだけならこれでおしまいです。

これ以降、霧吹きのことを「膨張弁」と記載します。わかりにくかったらごめんなさい。

エアコンサイクル

しかしこれだと致命的な問題があります。
エアコンガスを膨張弁を通して熱交換器に流し、その後エアコンガスはどこに行くのでしょう?
このままだとガスをどこかに排気するしかありません。
また、エアコンガスを流し続けるためにガスを供給し続けなければなりません。

エアコンの仕組み

こんな環境に優しくなく不経済なことはないです。
ということで、エアコンガスを再利用する仕組みが必要になります!!

この仕組みを「エアコンサイクル」(冷凍サイクル)と呼びます!

エアコンの仕組み

これからエアコンサイクルの成り立ちを見ていきましょう。

エアコンサイクルの構成

実際のエアコンサイクルはこのように構成されています。
これから順を追って説明しますので、怖がらないで下さい。

エアコンの仕組み

熱交換器が1つ追加されました。さっきの「空気を冷やす」ものに加え、「エアコンガスを冷やす」ものが現れています。
そして「コンプレッサー」というものも追加されています。

「空気を冷やす熱交換器」を出たエアコンガスを再利用するためには、出発点である「膨張弁(霧吹き)に入る手前」のエアコンガスの状態に戻さなければなりません。
エアコンガスの状態とは、温度や圧力やエネルギーを指します。

状態のことを「物理量」といいます。温度・圧力・体積・密度・エントロピー・エンタルピーなどがあります

この状態というものは、二つの値が決まれば他の値も決まります。
ここでは、この二つの値を用いて状態を表します。
・圧力
・エネルギー

エネルギーのことを厳密に知りたい人は「エンタルピー」でググって下さい

先ほど追加された「エアコンガスを冷やす熱交換器」と「コンプレッサー」は、エアコンガスの状態を霧吹きに入る手前までに戻すために必要なものです。
なぜならば・・・「エアコンガスが膨張弁に入る手前」の状態と、「エアコンガスが空気を冷やす熱交換器を出た後」の状態は、圧力とエネルギーで表すとこんな感じになっています。

エアコンの仕組み

エアコンガスが膨張弁を通ると、圧力が下がります。(霧吹きシュッっとすると広がって圧力が下がるイメージ)
エアコンガスが空気を冷やす時、逆にエアコンガスは空気から熱をもらいます。つまりエネルギーが上がります。

熱交換器を通った後のエアコンガスをそのまま膨張弁に入れても、状態(圧力・エネルギー)が最初と違っているので、同じように冷やし続けることができません。

エアコンガスを膨張弁を通る前の状態に戻すためには、以下の工程を踏む必要があります。
1. エアコンガスの圧力を高める
2. エアコンガスのエネルギーを下げる

エアコンの仕組み

それぞれ順番に、ざっくりとかんたんに説明していきます。

エアコンガスの圧力を高める

「コンプレッサー」というものを用います。
エアコンの室外機の中に入っていて、少し音がします。

ざっくりいうと、エアコンガスをピストンとシリンダーでぎゅっと圧縮する機械です。
同時にポンプの役割もしていて、エアコンガスを熱交換器に送り込む役割もあります。

コンプレッサーの仕組み(ダイキンのサイトに飛びます)

これによりエアコンガスの圧力が上がります。同時に温度も上がります。
ものを圧縮すると温度も上がるのです。気合でイメージして下さい!
なお少しだけエネルギーも上がります。

詳しく知りたい人は、「断熱圧縮」でググって下さい

これでエアコンガスの圧力とエネルギーはこうなりました。

エアコンの仕組み

そして次にエアコンガスのエネルギーを下げれば、エアコンサイクルが完成します。

エアコンガスのエネルギーを下げる

今、エアコンガスは高温・高圧の状態にあります。
エネルギーを下げるには、冷やせばいいです。
ここでのエアコンガスの温度は約80度にもなり、外気温よりも高くなっています。
冷房で室内の空気を冷やす時には「空気を冷やす熱交換器」を使いました。
ここでは「エアコンガスを冷やす熱交換器」を使います。
その熱交換器にエアコンガスを通し、外気をあてることで、エアコンガスのエネルギーを下げることができるのです!
さっきの冷房と逆ですね。

そうするとこうなります。

エアコンの仕組み

エアコンサイクルが完成しました!
これでエアコンガスを再利用でき、環境を壊さずに空調が可能になります!

実際のエアコンの構成と合わせると、こうなってます。

エアコンの仕組み

さて、ここまで「冷房」を例にとって説明してきました。
感の良い人は気づいているかも知れませんが、「暖房」もこれと全く同じ仕組みです。
次に説明していきます。

「暖房」の仕組み

まず冷房のおさらいです。こうでしたね。

冷房:熱交換器に「冷たいエアコンガス」を流し「暖かい室内空気」を冷たくする

またエアコンサイクルを作る時に、エアコンガスのエネルギーを下げる必要がありました。
その時はこうしました。

ガスのエネルギーを下げるとき:熱交換器に「暖かいエアコンガス」を流し「冷たい外の空気」でガスを冷やす

逆に言えば、

ガスのエネルギーを下げるとき:熱交換器に「暖かいエアコンガス」を流し「冷たい外の空気」を温める

と言えますよね。

つまり、「空気を温める熱交換器」がエアコンサイクルにあるということです。

冷房の時、エアコンサイクルはこうなっていました。

エアコンの仕組み

「空気を冷やす熱交換器」が室内にあり、「空気を暖める熱交換器」が外にありますね。
(室内にある方を「室内機」(部屋の中にあって風が出るアレ)、外にある方を「室外機」と呼びます)

ここで二つの熱交換器の場所を交換してみたらどうでしょう?

そうです、室内の空気を暖めることになります。つまり暖房です!!

このとき冷房で使っていた「空気を冷やす熱交換器」は室外にあり、エアコンガスは外気温よりも低くします。

これで冷房のときと同じく、エアコンサイクルが成り立ちます。

エアコンの仕組み

でも、実際のエアコンは冷暖房によって熱交換器の位置が変わっていないですよね。
暖房に切り替えるとき、工事業者を呼んで室内機と室外機を入れ替えることはしていません。

最後に、冷暖房を切り替えるときどうやって熱交換器の場所を交換しているのかを説明します。

冷房から暖房への切り替え方法

まずおさらいしいます。冷房の時はこれ ↓

エアコンの仕組み

暖房の時はこれ ↓ でした

エアコンの仕組み

実際のエアコンでは熱交換器の位置は入れ替えません。面倒ですものね。
「役割」を切り替えます。

どうやっているかというと・・・
エアコンガスが通る配管(パイプ)の経路を切り替えています。

この切り替えるための装置を「四方弁」と言います。
この四方弁を切り替えることにより、冷房と暖房を切り替える(熱交換器の役割を入れ替える)ことができるわけです。

エアコンの仕組み エアコンの仕組み

四方弁により、コンプレッサーから出た熱いエアコンガスが室外機に行くか、室内機に行くか、変わっているのが分かります。
室外機に行けば冷房。室内機に行けば暖房になるわけです。 

まとめ エアコンの冷房・暖房の仕組み

エアコンの冷暖房の仕組み

・エアコンガスを霧吹き(膨張弁)に通すと冷たくなる
・冷たいエアコンガスを熱交換器に通し、空気と触れさせれば空気が冷える(冷房)
・再度冷やすためには、エアコンガスをの状態(圧力・エネルギー)をもとに戻さなければならない
・コンプレッサーで圧力を上げる
・エアコンガスを冷やす熱交換器でエネルギーを下げる
・エアコンガスが霧吹きに入る前と同じ状態になり、エアコンサイクルが完成する
・エアコンガスを冷やす熱交換器 = 空気を暖める熱交換器
・↑ を室内に置くと暖房になる
・熱交換器の入れ替えは四方弁でエアコンガスの流路を切り替えることで行う

まとめるとこんな感じかな!!

結構ガチで説明しましたが、まだまだ奥深く説明することが可能です。
知りたい人いればTwitterアカウントまで連絡ください!よろこんで説明しますよ!

エネルギー効率(省エネ)の話や、ヒーターとエアコン暖房の違いについても書きたいなー

カーエアコンについては暖房の仕組みがちょっと違います。
実は暖房にエアコンガスを使っていないんですね。
この記事で説明していますよー ↓

設計者がカーエアコンの仕組みを誰よりも分かりやすく解説します!!カーエアコン(車のエアコン)、便利ですよね。 30年前は標準装備でなく、後付けエアコンが主流でした。 今では当たり前についていて、無...

こんな僕ですが、2020年1月に全く実務経験のないITエンジニアに転職しました!
今のところ(2020年1月3週目)楽しくやれてますよ!はやく周りに追いつきたい!
その経緯はこちらで ↓

プログラミング未経験33歳が自社開発企業に転職するまでプログラミング未経験、33歳、地方住み。 「ITエンジニアになる」と決意して約5ヶ月で都内の自社開発企業から内定をもらうことが出来ました...

ここまで読んでいただきありがとうございました!
エアコンに感謝しよう!